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ワシントンDC アースデイツアー

ワシントンモールでのイベント概要

日 時:2000年4月22日(土)10:00am~5:00pmごろ
場 所:アメリカ ワシントンDC ナショナルモール
参加者:50万人(新聞記事)
テーマ:アースデイ30周年 「Clean Energy Now!」
キャッチフレーズ:「Be a part of something really big」

概 要
 ワシントンD.C.、国会議事堂とリンカーン記念堂をつなぐナショナルモールの議事堂側に大型屋外ステージおよび大型スクリーン2面を設置。big-Tシャツを着た子供たち約50人ほど(殆ど黒人)によるアースデイオリジナルソングの合唱で始まった。次に異なる宗教家3名によるスピーチ、DC市長、ディカプリオ、テニス・ヘイズと続く。この後、予定には入っていなかったゴア副大統領、EPA長官も登場。スピーチと音楽による「Rally」が5時過ぎまで続く。
 モールでは5つの大きなテントが、「Earth」「Water」「Air」「Sun」「People&Children」のテーマ別に設けられ、それぞれに約35〜40のブースが入っており、子供連れの家族、若い人々を中心にテント内はごった返していた。ブース出展者の多くは、環境関係の団体と思われるが、環境局(EPA)、運輸省(DOT)、労働省(DOL)、社会保障局(SSA、GSA)など政府機関も一部出展している。「SUN」のテントには、ソーラーテクノロジー関係の企業が多く出展していた(京セラも)。一番混雑していたのは「People&Children」のテントで、中に入るのに行列ができており、附属のトレーラー「Rain Forest」は常に長い行列で見ることができなかった。
 運営面では、このナショナルモールは国立公園局(National Park Service)、の管轄らしく、茶とグリーンのコートと帽子ハットをかぶったおばさんたちを何人か見かけた。また簡易トイレがモールの両側に何百と並び、今日の人出では十分すぎるくらい用意されていた。セキュリティ面では騎馬警官、オートバイ、自転車、自動車、徒歩と5種類の方法によるPoliceの巡回、本部機能としてはステージの裏の一画が囲われており、Press用とVip用2ヶ所の入口を設けている。そこには特別の許可証がないと決して入れず、セキュリティは厳しい。
  • ボランティアは専用の赤いTシャツを着ており、かなりの人数。一般の人数がそれほどでもないため、ボランティアの方が目立っていたくらいであった。
  • ペットボトルの水が無料で大量に配られていた。
  • アースデイ本部による物品の販売はデニス・ヘイズの公式ガイドブック「Planet Repair」が布バッグ付で$10で売られていたのみで、インターネット上にあるような様々なグッズのショップはなかった。
  • 公式パンフレットは「Official Earth Fair 2000 Passport」というパスポートサイズの50ページ余りのブックレット(広告入り)。無料。
 昼近くRallyが始まる直前、一時青空と白い雲が現れたものの、ほぼ終日曇天の、今にも雨が降りそうな寒い日で、それが多くの人を遠ざけていたとも新聞は書いているが、根本的に様々な状況が、あの1970年の第1回アースデイとは全く違っているのだろう。
 何かに抵抗した、何かを変えようとする苦しみを伴った力あるイベントはなく、子供たち、若い人たちが何となく、みな楽しく集まったような平和的なイベント、殆ど単なるイベントに終わったような印象を受けた。


アースデイラリーのスピーチ概要(抜粋)

レオナルド・ディカプリオ氏
 2000年アースデイのチェア―をすることができて大変光栄です。環境問題は、常に私の関心事でした。まず最初に私の家族の話からしたいと思いますが、祖父が語るには、祖父のいた町では、工業化に伴って、そこに暮らす人々は病気にかかり、私の祖父もその一人でした。ついには、町の環境も破壊されてしまったとのことです。それは、工業化によって、一時的には、経済的に豊かになったように見えましたが、結局、より高くついたことになったわけです。
 そのとき以来、あちこちで問題がいっそう悪化しました。水はにごり、土壌は浸食され、河川は干上がり、湿地帯は失われ、漁業は大打撃を受け、調整地はだめになり、気温は上昇し、また、さんご礁も絶滅の危機にさらされました。非常に短期間のうちに、多くの動植物が息絶えたのです。
 重要なのは、我々は同じ過ちを繰り返してはならないということです。二酸化炭素は、吸収するよりもはるかに多くの量を排出しています。その結果、地球上の温度が5度Fから9度F上がっているのです。5度Fから9度Fです。今こそ、スモッグも汚染もないクリーンなエネルギーです!。
 今日、我々は、幸いにも、すばらしい科学技術があります。太陽エネルギーあるいは風力など、今回のアースデイでテーマとなっているクリーンンエネルギーを地球温暖化抑制のために始めるべきです。
 正直なところ、我々は誰しも最悪のシナリオを考えたくはないのです。アメリカの人口は世界人口の8%足らず(?)であるにもかかわらず、我々は、世界の約40%もの廃棄物を生産しています。我々は、好むと好まざるにかかわらず、環境時代に生きているのであり、現実的に21世紀を生きる人ならば、環境が最優先事項になるはずです。
  我々は、地球の警告を今こそ認識し、目覚め、行動を起こしましょう!!

デニス・ヘイズ氏
Save the Earth!! 
 ここ何十年間、(人間という)たった一つの種が、地球環境を変化させてきた。核兵器の存在、オゾン層破壊、世界中で起こっている種の絶滅、そして地球の気候が変わり始めている。これらは、我々米国民だけで解決できる問題ではない。
 今回のアースデイは、世界中で180ヶ国、約5,000団体、そして何億もの人々が参加して、これまでで最大のイベントとなった。メキシコシティ、インドネシア、そして台湾の台北でも過去最大のイベントとなっている。
 地球温暖化に対する−再生可能エネルギーを基礎としたクリーンエネルギーを求める−「アースデイ2000」環境活動の動きは、世界中でこれまでになく、大きなものとなっている。我々米国民は、非常に深い責任を負っている。
 従って、我々は強いリーダーシップを持つリーダー達を必要としている。「アースデイ」は、政党ではない団体である。ジョージ・ブッシュ、ラルフ・ネーダー、そしてアル・ゴアに、「地球温暖化に対して何をしようとしているか?」ということを話してほしいと招待状を送った。ジョージ・ ブッシュは、非常に礼儀正しく「NO.(欠席)」と言ってきた。(ブーイング)ラルフ・ネーダーは、彼の現在の立場を説明しようとし、そしてアル・ゴアは戻ってきた。“ゴア政権”が何をしようとし、どんな政権になりそうなのか、皆で聞こう。(ゴア副大統領を紹介)

アル・ゴア副大統領
 アースディ30周年にあたり、ただ祝うのではなく、次世代のために環境十字軍(Environmental Crusade)となって地球を救おう。
 最初のアースディから30年、大気、水、そして,この惑星は我々が分け合っているのだ、という「アースディ」は力強く人々に認識されるようになり、大きく一歩一歩前進してきた。
 30年前は汚染=繁栄というような認識があったが、それは間違っている。「地球温暖化」は、我々の社会の "現実"である。一緒に立ち上がって共に働こう。より強いアメリカのために。近年、アメリカは、史上まれに見るほど経済成長を続けている。環境と経済は共に歩むことができる。一人に良いことは他の人にも良い。
 ほぼ10年前に、私が「Earth in the Balance」という本を書いた時、私はいろいろ批判を受け、それを覚えているが、今日、私は言いたい。自動車業界、特に3大メーカーの現在のコンセプトは、温室効果ガスを排出しない、クリーンな燃料車の開発である。もはやそれは異端(extreme)ではなく、主流(mainstream)である。地球を守ることは正しいことであり、雇用を創り出すことであり、雇用喪失ではない、と彼らは知ったのである。大気、水、地球は我々自身のためで、決して政治のためではなく、未来世代のためである。
 今後10年は、アメリカで、そして全世界で、環境に無責任であった旧来の政治から、「環境の10年」となるだろう。
  1. 「環境の10年」は、森林、川、そして我々の皆の土地を守り、
  2. 「環境の10年」は、それぞれ地域の特性を生かしながら、より"賢い成長"を進め、
  3. 「環境の10年」は、自然保全、再生可能エネルギー、そして汚染除去の急成長する技術に投資していくべきである。
  4. 「環境の10年」は、アメリカだけでなく、全世界で地球温暖化の上昇を逆転させるために大きな一歩を踏み出さなければならない。今後20年間に、驚異的な、何百億ドルと言われる新エネルギーテクノロジーの世界市場を追求し、安定雇用という方法で、我々は地球温暖化と戦うことができると思う。
  5. 「環境の10年」、我々はこれ以上、子供たちの喘息罹病率の上昇を受け入れるわけにはいかない。スモッグ、その他汚染源を削減する現実的な大気質の基準の到達が必要である。酸性雨を引き起こす水銀、Co2、が依然として大気中にあり、森林、水、そして我々の健康を脅かしている。そうした汚染源には発電所も含まれ、我々はこの問題を解決しなければならない。それを敵としてではなく、自由経済市場にのった、柔軟性で、そのゴールに到達しなければならない。電力会社はその効率をより改善し、我々も彼らに、新クリーンエネルギーを使うことは、より金も節約し、雇用も生み出すのだ、ということを促さなければならない。
 このアースデイにあたり、―党派を超えて議会で話し合われることを、また、環境保護者と産業界のリーダーが共に進むことを我々は歓迎する。
 この挑戦は現実のものであるし、また容易なことではない。しかし、環境のために良いことを我々はできるであろうし、やろうと思う。なぜならそれは、アメリカの子供たちの権利であり、アメリカの未来の権利であるからである。それは、我々すべての命に係わる問題である。飲料水の安全性から、地球温暖化のより多くの証拠、―それには、京都議定書を批准しなければならないが(拍手)―まで、それらを知ることによっていくつかの保証の方法がある。
 今から100年後、次の世紀の最初のアースデイに我々の孫が集まる時、今日我々がこのモールで享受しているものと同じ展望、同じ献身、同じ発展と共にあるかを知りたい。
 「地球」は、バランスの中にある。我々ができること、しなければならないことで地球を救おう。これは偉大な責任である。一緒になって、この良い行為(Charity)を完成させることを皆で

関連新聞記事紹介

2000年4月21日付 USA Today
「環境への隠れた利益(Our View)」
 30年前、最初のアースデイが行われた際、国民には環境を悲観する理由があった ― 町は灰色に染まり、河川は汚染されていた。今日でさえ、そのような悲観が残っており、世論調査によれば、70%程度の人が、1970年以来、大気や水質の汚染がより悪化していると感じている。また、別の世論調査では、30%程度の人が、4年間で環境が改善するであろうと考えている。
 多くの環境問題を取り組むにあたって、経済の成長は、環境にとってマイナスになるという不適当な見解が漂っているが、1970年の最初の地球の日をきっかけに、環境に対する多くの規制が設けられ、大気汚染や水質汚濁は改善され、森林面積も増加している。いうなれば、環境と経済は同調できるのである。このように、経済や科学技術の進歩に伴って、解決できる多くの問題もあるが、その一方で、特に開発途上国において顕著であるが、環境への影響が大きいのも事実である。しかしながら、将来の発展が過去に依存するならば、環境の利益は、経済発展によってもたらすことができる。
 来る、2000年の地球の日は、我々にとって有益なものであり、繁栄は、地球環境の発展によってもたらされる。

「空虚な喜び(Another View)」
 来る、30周年の地球の日を、多くの人々は祝福するであろう。30年前と比較すれば、大気や水質も改善され、絶滅の危機に瀕している種も回復の兆しがある。しかしながら、最近の世論調査では多くの人は解決策があるとしても、環境に関して悲観的な見解を示している。
 我々の地球にとって脅威である問題は、地球規模の変動であることは明確であり、温室効果ガスの削減なくしては、今後の千年は、温暖化の一途をたどることになる。我々の取り組み次第である。その他にも、海洋資源や生物種の保存等も、恐怖に近い問題である。会社、政府、個人それぞれが、これらの問題を解決するうえで重要な役割を担っている。我々一人一人が、みな重要であることを示すべく、よりよい仕事をすべきであり、そのために取り組むことは今回の地球の日のみならず、それ以降にとっても推進力になるであろう。

2000年4月22日付 The New York Times
「アースデイの挑戦」
 本日2000年4月22日は,アースデイの30周年記念にあたり、多くの人々が称賛し、我々が地球環境に対して、なすべきことを思い起こさせてくれる日である。水質・大気・土壌の浄化を続ける一方で、地球に住むすべての人類が、30年前には一般に知られていなかった、不明瞭な地球温暖化の脅威に取り組まねばならない。この新しい課題は、単純明解に解決できるものではない。従って、今後のためにも、より強固な取り決めが必要である。これは、アースデイの創立者たちのメッセージである。
 1970年、アメリカの幾つかの河川は、火事が起きるほど化学物質で汚染されていた。大都会は、煙や有毒廃棄物で覆われていた。鳥類や魚類の種は、姿を消していった。1世代の間に、全米環境法、大気浄化法、水質浄化法、絶滅の危機に瀕する種に関する法律ならびに環境局が設立され、数十年で悪化した環境の多くが回復傾向にある。
 この方向転換は、市民活動及び道徳的責任と同様に、環境を政治的に保全することは、広範な倫理であるという見解を、最初に与えたひと握りの政界の指導者たちによって、後押しされた。
 同様に、国民の情熱と政治的意思を地球温暖化に対峙するために、今まさに喚起されなければならない。議会は、この問題を軽視してきた。そのような経緯から、アースデイの開催者たちは、今年のアースデイでは地球温暖化に焦点をあてている。
 大気汚染や水質汚濁とは異なり、地球温暖化は地域的な問題ではない。地球上のあらゆる場所で起こりうる影響は、壊滅的なものであるかもしれない。少なくとも、部分的には、太陽エネルギーを取り込む二酸化炭素などの温暖化効果ガスの蓄積によって、地球の気候が温暖化しているということに、大部分の科学者が同意している。
 1997年、アメリカ合衆国を含む世界の150ヶ国以上が、化石燃料によって大気中に排出される温室効果ガスの排出量を制限することを目的とした京都議定書に調印した。それによれば、2010年までに、温室効果ガスの排出量を削減することが、工業先進国に要求されたものの、多くの国では、この同意を達成することが難しい状況にある。アメリカは、世界最大の温室効果ガスの排出国であるが、上院議員は、京都議定書の批准に反対している。
 温室効果ガスの排出規制は、集約的なエネルギー保存と太陽や風力などのクリーンエネルギーの推進が必要である。政治的及び経済的な障害は、どの国にとっても、本質的な問題である。国民に、この問題の重要性についての確かな知識があれば、克服することができる。
 30年目のアースデイ活動は、みんなが環境問題の重大さに気づくことによって、最終的に生活様式の変革につながることを示唆している。

2000年4月23日付 The Washington Post
地球の日の執行者たちはより高い水準を要求
 30周年記念である地球の日を祝い、地球温暖化の脅威に対抗するための新しい規制を促すために、あいにくの空模様にもかかわらず、50万人もの、ごく普通の人から熱心な環境活動家まで幅広くワシントンモールに終結した。ワシントン会場は、世界中の地球の日の祝賀者たちや異議者たちに注目された。
 今回のチェアーである俳優のレオナルド・ディカプリオ氏は、"今こそ我々が行動を起こすときである"と述べ、また、ゴア副大統領は、内燃機関エンジンの実質的な排除を要求するなど、政治家から有名人までが参加し、さらに、"地球"、"大気"、"太陽"、"水"、"人間と子供"と名づけられたテントでは、クリーンエネルギーをテーマに200以上の展示があり、多くの参加者たちは、スピーチや音楽、あるいはテントに集まった。
 地球環境を守るべく始まった地球の日は、ネルソン上院議員の提唱のもと、デニス・ヘイズ氏をコーディネーターとして、1970年に始まり、アメリカの政治を改め、国際的議題にまで発展した。

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